STEINS;GATEのDVD

想定科学シリーズの第二弾がSTEINS;GATEなのですが、いきなり最高傑作が出てきてしまったなというのが率直な感想です。
記憶を消してもう一度最初から見たくなるという方の気持ちがよくわかります。

本作は秋葉原を舞台に小さな発明サークルの主催者である大学生が、偶然、過去にメールを送れるというタイムマシンを発明してしまったことをきっかけに物語がはじまります。そのため作品全体の雰囲気や登場人物のキャラクターも前作に比べるととっつきやすく、某ネット掲示板ネタなどもてんこ盛りにされていることもあって、元ネタを知っている方にとっては爆笑してしまうことも多々あると思います。

また想定科学と銘打っていることもあり架空の事物と共に、ジョンタイターをはじめとする実際の人物や組織を巧妙に織り交ぜており、実際にタイムマシンが開発されたのなら核兵器のときのような開発競争が起こり、最終的にディストピアを迎えるというのも決して絵空事ではないというリアルさがあり、単純に物語として楽しいだけでなく深く考えさせられる要素もあります。

ストーリー構成も秀逸で、序盤はさまざまな伏線が張り巡らされていながらも、極端な難解さはなく、むしろ知的好奇心をくすぐりながらも軽快に進んでいきます。興味本位で研究を進めていたタイムマシンが、いかに危険なものであるのかを知ることになる中盤からは重い展開になり、何度時間を遡ろうとも世界線の収束を回避することはできず、世界線そのものを変えてタイムマシンを発明する以前の世界に戻すために足掻く主人公の苦悩と決断には何度見ても胸が詰まされます。そして終盤では一気に物語が収束し、結局は二者択一の未来しかないのかと諦めかけたところでの大どんでん返しには本当にやられたと思いました。確かにハッピーエンドは望んでいましたが、そのための仕掛けがここまで緻密に張り巡らされているとは感服の極みとしか言いようがないです。

前作のCHAOS;HEADは猟奇的な部分もあって好みが分かれるところが大きいですが、何か面白いアニメはないかと聞かれたら、必ずSTEINS;GATEはお勧めしています。