漢江に突如怪物があらわれ、子供をさらっていく。
その娘を取り戻そうと、一家が必死にがんばるという話です。監督は、名作『殺人の追憶』のポン・ジュノです。パニック映画だけど、とてもシリアスで、結果もかなりヘビーです。
でも、ハラハラする娯楽作で、怪物の造形も楽しいです。特に、漢江は韓国の人にとっては、ほんとうに日常的でなごやかなところなので、そこに怪物が現れるというのは、痛快ですごいことです。
そして、追いかけるのが、ソン・ガンホです。名優ですね。最初は、さえない、だめなお父さんだったのが、しつこく諦めないで、戦う、戦う。だんだんにかっこいいと思えてきます。
そして、なんかおかしい。すごくピンチなときの連続なのに、ときどき笑えてきます。
そのバイタリティ、その不屈なところ。まいったな、と思います。おまけに、怪物の出現した理由がアメリカ批判だったり、科学への批判だったりします。割と社会的です。
しかし、なんといっても人間愛、家族愛に打たれます。
最後、ちょっと泣けて、ちょっと笑えます。その笑えるところが、韓国のバイタリティみたいで、かなわないなーと思います。主人公たちは弱く、力がない。が、同時に強く、あきらめない。土からわいたような力があります。
『リンダ リンダ リンダ』のペ・ドゥナや『殺人の追憶』のパク・ヘイルが出ているところも楽しいですが、俳優はソン・ガンホに尽きると思います。
かっこよくないけど、かっこいいお父さんです。
日本映画もいいけど、こういう韓国映画を見ると、まだまだ負けているなと思わざるを得ません。なんといっても、いろいろなシリアスな要素を含みながら、とてつもなくおもしろい映画になっているからです。