ホラー映画に興味があるけど、グロテスクな映像は苦手。そんな方にお勧めのDVDです。
ひっそりと佇むお屋敷を舞台に、静かな雰囲気の中にひたひたと恐怖が迫る……
一人で週末の夜に、あたたかい飲み物をいただきながらゆったり鑑賞したい、そんなDVDです。
ニコール・キッドマン扮する美しい母親が、二人の子供と暮らす霧に包まれたお屋敷。
三人の奉公人がその屋敷を訪れてから、不思議な出来事が起こり始めます。
この怖さは、バーンと分かりやすい怖さではなく、じわじわくる不可思議さです。
そしてホラーな展開のはずなのに、移り行く映像は上品でゆったりとしていて、静かな世界観に惹き込まれるのです。
上品な金髪の人妻ニコール・キッドマン(グレース・ケリーを意識したそうです)が、追いつめられて神経をぴりぴりさせていく姿は、その白い肌もあいまって不吉な美しさにあふれています。彼女の美貌と演技だけでも見る価値ありです。
最後にはどんでん返しがあり、物悲しくも後味の悪くない、淡々とした余韻が残ります。
ある種のハッピーエンドと言えなくもない、ゆるふわ癒し系なホラー映画なのです。
また劇中に張り巡らされた伏線の数々も見どころ。
「これがあのどんでん返しにつながっていたのか」と発見がたくさんあります。
最後まで観たあとは、もう一度最初から見直すことをお勧めします。
箱庭のような美しい世界観を閉じ込めた、ホラーらしからぬホラー映画と言えるでしょう。