誰も知らない

是枝裕和監督による「誰も知らない」は、1980年代に実際にあったことを元にして作られた映画作品です。出生届を出されなかった4人の子供たちが育児放棄をしてしまった母親によって、子供たちだけの生活をすることになる、という作品です。

とにかく作品のさわりの部分からも、とにかく薄暗いグレーのような雰囲気で描かれているのが特徴で、見ていてずっとこれからどうなるのか、というような不安がありました。子供たちだけでお金が送られるだけで生活ができるわけないじゃないか、とか長男で主人公の明がずっと兄弟の面倒を見ようとしたり、母親の言いつけを守ろうとしているけれども、ずっとそれを維持することなんてできないだろう、なんて思っていたら、それが見事に命中してしまうという、雰囲気からいろいろと察することができてしまう作品でした。しかし、とにかく憎いと思えるのが、明の表情であったり、気持ちや考え方の移り変わりがゆったりと描かれていくという点です。中学生ぐらいというとにかく多感な時期にあるので、母親がいなくなって自分の気持ちや考え方を抑えきれなくなって、親の言いつけを守らずにお金をどんどん使ってしまったりするシーンは、まさに反抗期まっただ中な子供らしい描写でした。

また、家族ばかりではなく、学校に行けなかったためにずっと憧れていた友達に、便利な奴だと利用されて、万引きをさせられてしまうシーンや、好きになりかけていた女の子が自分達の生活費が無いからと言って、売春をしてお金を作ってくるシーンなんかも、明にとってはかなり衝撃的なシーンで、めちゃくちゃ辛い気持ちにさせられました。

最後にはもっともっと悲惨なことが待っているのですが、それがあった後でも、ラストシーンはまるでこの子供たちが前を向いているような描かれ方をしているのです。初めて見た時はなんでこんなシーンなんだろう、こんなこと思えるのだろうか、と思っていたのですが、二回、三回と見ていくうちに、その衝撃的なことを目の当たりにすることで、生きることへのポジティブな思いを取り戻せたのかな、ということを感じました。

実話の方はもっと悲惨な感じでしたが、そうではなく描ききること、また心の機微などを見事に描ききっているのは、邦画ができる洋画には無い言い部分だな、と思いました。

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