「ガンダム」といえば、マジンガーZやゲッターロボとは一味違った、リアルな設定と人間ドラマで戦争を描いた傑作ロボットアニメで有名です。
ガンダム、ザク、シャア、アムロなどを知らない人はほとんどいないでしょう。しかし「機動武闘伝Gガンダム」は、「ガンダムが格闘で戦う」という、ある意味ヒーローロボット作品に「先祖返り」したガンダムといえます。
Gガンダムは1994年に放映されましたが、この一つ前の作品である「機動戦士Vガンダム」は、次々と人が無残な死に方をしていく、非常に暗い作風でした。
これには、初期作の機動戦士ガンダムで名を馳せた富野由悠季監督自体が、ファンの意見やガンダムへの過度な期待に失望して病んでいたことが影響として挙げられます。そして富野監督は、Vガンダムを終わらせた後に言いました。
「次はガンダムでプロレスをするんだ!」。
かくして、手腕の高い監督として名高い今川泰宏監督が起用されて作られたのが「Gガンダム」です。舞台は地球、世界は戦争の代わりに、武闘大会である「ガンダムファイト」を行うことで勝敗を決し、優勝国が世界の主導権を握る、という設定のもと、各国がそれぞれ作ったガンダムが戦う、という設定です。
各国のガンダムの多くには、その国ならではの特徴がモチーフとしてあしらわれています。
例えば中国(ネオチャイナ)ならば、腕が龍になる「ドラゴンガンダム」、フランス(ネオフランス)では騎士風の「ガンダムローズ」といった具合です。(日本やロシアあたりはオリジナル要素が強いですが)作品は、ガンダムファイトの進行とともに「デビルガンダム」の脅威を主人公たちが撃退するという綺麗な形で完結し、特に当時の「ストリートファイター2」による格闘ゲームブームとも相まって好評を博しました。
ただし、往年のガンダムファンには受け付けなかったり批判する人もいました。Gガンダムをリアルタイムで見ていた私は非常にハマりました。
「わざわざこんなストーリーのものをガンダムとしてやらなくてもいい」という声もありますが、代理戦争を描いたというバックストーリー、そして愛憎を見事に描いた人間ドラマは、ガンダムだからこそ奥深く作ることができたんだ、と個人的に思っています。