時代劇を見ていると、基本的には史実にそったストーリーを辿っていくことになります。なのである意味では安心感をもって見ていられます。例えばざっくり言うと織田信長は最後本能寺で死んでしまいます。ようは結末が決まっているわけです。諸説あろうとだいたいの作品ではそのようになるわけです。
しかし、この「戦国自衛隊1549」は違います。
戦国時代の再現をしている光景は時代劇ながらも、現代の自衛隊部隊が戦国時代にタイムスリップしてしまうSF映画なのです。
色々と非現実的な事が起きますが、その点は映画なのでご容赦下さい…(笑)。
事故によってタイムスリップをしてしまった兵器を所持した自衛隊員達は、戦国の下克上の世を泥臭く生き抜こうとします。
その過程で歴史を変えていってしまうのです。
本来そこにいるべき人物が変わってしまったり、その為に現代の存在そのものが危なくなっていきます。
これは普通の時代劇では再現できない要素で、面白い点です。
そしてこの戦国自衛隊は、歴史の改変を主人公達が食い止め、また当初は改変者らを助けに行くというお話です。
このお話では考えさせられる要素が沢山あります。
事故に巻き込まれた者達は生き抜く過程で平成の世を堕落した世界と考えるようになりました。
反対にあるべき未来を守る為、過去を守ろうとする主人公が彼らと葛藤、そして戦い争います。
彼らは、過程や方法はどうであれ、どちらも自分の考える「未来」を求めていたのです。
自分が事故に巻き込まれた側だったなら彼らの考えを肯定しますし、主人公の立場ならそれを否定することでしょう。
ただ大きな違いがありました。
巻き込まれた側には完全な「驕り」があったのです。
現代の最新兵器を戦国時代で使えば、世の中を変え、支配できると過信していたのです。
ですが結局その兵器を使うのは人ですし、人はどの時代であろうとも決して人でしかないのです。
銃で撃たれれば死ぬわけです。
戦国の世で最新兵器という強大な力を行使してその時代の人を支配したことで、自分達に圧倒的な力があると信じ込んでしまいました。
自分達自身の力ではないのに…。
両者の勝敗を決したのはまさにこれではないかと思います。
現代の技術とて過去あってこその物なのですから…。
その他にもSFながらも、沢山の事を考えさせられる奥が深い作品だと思いました。
迫力ある戦闘も見どころなので、オススメの作品です。